雨で震えるような寒さのチヴィタベッキア港（ローマ）を１１月１２日午後８時に出港した私たちの船は、地中海を一路、先ずエジプトのアレクサンドリア港を目指します。翌１３日夕方、出航後初めて海上に現れてきた大きな陸地は、シチリア島でした。「シチリアなしのイタリアは、われわれの心中に何らの表象も作らない。シチリアにこそ全ての鍵がある」とゲーテが評したという島です。つまりそこは、メッシーナ海峡です。イタリア本土の長靴のつま先部分にあり、地中海からみれば、ほぼ中央に位置するシチリア島です。

船は１２ノットのスピードでゆっくりカーブを切りながら通過します。本土とシチリア島を結ぶフェリーも走っていました。

上陸はしませんでしたので、船の上から景色を撮りました。

最初に出てくる３枚の島影は、違います。紛らわしいので、イタリア本土の姿はカットしてあります。３枚の島影が終わると、シチリア島です。やがて町の中心が見えてきます。光学ズーム２０倍を使って、一番上のデッキから覗き見趣味で撮りましたのは、メッシーナ市です。２〜３マイル沖を航行しているのですが、通りの車まで写っています。ピントの甘いのが１枚ありますが、お許しください。

この船旅に先立つ、昨年7月28日、2500年前の、ホメロスの『イリアス』で描かれた技法で建造されている古代ギリシャの船がシチリア島南部の海岸から引き揚げられましたが、場所はメッシーナ市からみて南東側の島の反対の場所です。作業を行った考古学者チームによると、いままで発見された古代ギリシャ船の中では最大で、保存状態も最も良いそうです。ますます、興味が湧いたのですが、上陸しないのではどうしようもありません。

大した写真ではありませんが、雰囲気だけでも味わっていただければ・・と思います。

(2009.02.11　シドニー・ボーイ記)